Taise-Sash

A New Factory that Enhances Productivity and Blends with the Landscape
静岡県の大井川沿い、豊かな田園風景の中に佇むこの工場は、周囲の自然と調和しながらも生産効率を最大化するために設計されました。タイセーサッシ工業株式会社様の新たな生産拠点として計画された本施設は、既存のオレンジ屋根の工場に隣接して建設され、新旧の施設が連携することで全体の作業フローを円滑にすることを目標としました。新たな搬入路を既存工場に設置し、物流動線を一体化。これにより、生産性の向上だけでなく、作業の効率化も実現しました。
建築デザインにおいては、工場棟1棟と事務所棟1棟の2棟構成でありながら、工場棟を2棟に見えるよう工夫し、切妻屋根が3つ並ぶ外観を形成。これにより、田園風景の中に溶け込み、圧迫感を与えない調和の取れたデザインとなっています。外壁にはグレー(シルバー)を基調としたガルバリウム鋼板の波板を採用し、周辺の景観に馴染む落ち着いた印象を演出しています。

工場棟の赤い梁は、工場内で使用されている機械の赤と色を揃えることで、統一感を持たせ、全体のデザインに調和を与えています。また、天井には採光窓を設け、自然光を十分に取り入れることで、明るく快適な作業環境を提供しています。

一方、事務所棟では、吹き抜けのエントランスやガラス張りの会議室を通して、開放感と視覚的な広がりを確保。温かみのある木目調の床と黒いフレームが対比を生み、モダンで洗練された雰囲気を醸し出しています。





本プロジェクトは、機能性とデザイン性を両立させるだけでなく、地域環境との調和と環境負荷の軽減に配慮した、持続可能な工場建築です。田園風景や大井川沿いの自然を尊重し、切妻屋根のリズムやグレーを基調とした外壁デザインが周囲の景観に馴染む一方、天井や大きな窓から自然光を効率的に取り入れる設計により、エネルギー消費の抑制を実現しました。敷地内には植栽スペースを設け、周辺の景観に調和をもたらす工夫がされています。
また、新旧の施設をつなぐ動線計画により、物流の効率化や作業フローの改善を図り、無駄のない運用が可能になっています。従来の「THE工場」という無機質で無骨なイメージを払拭し、周囲の自然環境に調和しながら洗練されたデザインを実現できたと思います。