Annex Hatsuoi

A Skip Floor Design That Enhances Spatial Connectivity
本プロジェクトでは、母屋のコの字型の形状に寄り添いながら、中庭との一体感をより高める離れの増築を計画しました。施主からは「みんなで集まってバーベキューを楽しめる趣味の空間を創りたい」「格子のデザインを取り入れたい」という要望をいただき、それに応える形で、母屋のコの字型に呼応するように反転したレイアウトを採用しました。
平面計画では、中庭を最大限に活かしつつ、母屋とのつながりを意識した配置とし、適度な距離感を保ちながらも視線や動線の連続性を感じられる空間としました。断面計画ではスキップフロアを採用し、一部を半地下とすることで、高低差を利用した立体的な構成とし、空間の広がりや奥行きを演出しています。
半地下の計画は、敷地にかつて建っていた工場の基礎撤去による地盤への影響を考慮し、安定した地盤に建築するために取り入れたものです。この計画により、床レベルに変化をもたらし、視線の抜けや高さの変化を活かしたダイナミックな空間が生まれました。結果として、機能性とデザイン性を両立させた、開放感と奥行きのある魅力的な離れが実現しています。
素材のコントラストが生む洗練されたキッチン空間

キッチン全体を覆うステンレス素材は、耐久性と清潔感を兼ね備え、モダンでプロフェッショナルな印象を与えるだけでなく、光を反射することで空間に奥行きをもたらし、より広がりを感じさせる役割を果たしています。その一方で、カウンター下部には立体的なパターンが施されたウッドパネルを採用し、ヘリンボーン調のデザインが陰影を生み出すことで、ステンレスの無機質な質感に温かみとリズムを加えています。この木の質感は、屋外のウッドデッキとも調和し、内と外のつながりをより強調するものとなっています。また、キッチンのすぐ前には大開口のスライドドアが設けられており、屋外のテラスと一体的に使える設計によって、スムーズに活用できる工夫が施されています。さらに、天井にはシンプルなペンダントライトが配置し、柔らかな光が空間を包み込むことで、ブラックの天井と相まって落ち着きのある上質な雰囲気を演出しています。
半地下の趣味室と吹き抜けの開放感


半地下には趣味室を設け、静かで落ち着いた空間として活用できるよう設計。上部には吹き抜けを設けることで、半地下でありながらも明るさと開放感を確保しています。
トレーニングルームの設計

上階にはトレーニングルームを配置し、ミラーウォールと大きな窓を設けることで、視線の広がりを意識した開放的な空間を実現しました。天井には木材とスチールフレームを組み合わせ、素材のコントラストを活かしながら、洗練された中にも温もりを感じられるデザインとしています。
軒天と格子デザインの融合

軒天のデザインは、構造設計者との協議を重ねた結果、水平ブレースをカットティー(T字型鋼材)で代用する案と、お施主さんの希望である格子デザインを融合させる形で収束しました。




